&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
「芋栗カボチャがおいしい季節」。渡辺有子の料理教室2年目10月October 11, 2025
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。2年目10月のテーマは、「芋栗カボチャがおいしい季節」。3つのレシピを紹介します。

芋栗カボチャがおいしい季節。
先生:すっかり涼しくなったので、食べたくなるものも自然と変わってきましたね。
生徒:はい。私はホクホクしたものが恋しくて、ジャガイモばっかり食べています。
先生:わかるわぁ。本日の教室も「芋栗カボチャ」をテーマにしました。今回は里芋ね。
生徒:芋とカボチャはこの季節の定番ですが、栗はなかなか手強そうですね!
先生:栗ご飯は少々腕が必要になるけど、「栗のポタージュ」なら大丈夫。さっそく作りましょうか。まず、たっぷりの湯で栗を30分ほど茹でます。茹で上がったら半分に切って、スプーンで実をくりぬきましょう。
生徒:皮をむかない時点で気がラクに!
先生:次に鶏もも肉からスープを取ります。鶏もも肉と水を鍋に入れて中火にかけ、沸騰してから5分ほど茹で、火を止めたらフタをして20分ほどおく。水分が飛ぶので、出来上がり量は500㎖ほどになります。
生徒:この鶏スープは便利そうですね!
先生:茹でた鶏もも肉も活用してね。さて、薄切りにした玉ネギを炒めていきますよ。鍋にバターを溶かして、玉ネギをしんなりするまで炒めたら、栗と300㎖の鶏スープ、タイム、塩を加えて弱火で25分煮ます。栗は仕上げにも使うので、少し残しておいてね。
生徒:はーい!
先生:鍋の火を止めたら、ハンディブレンダーでなめらかに撹拌します。残りの鶏スープで、好みの濃度まで薄めたら、塩を加えて味を調える。温めたスープ皿によそって、小さく切って焼いた粟餅をのせます。栗を散らして白胡椒を挽いたら完成よ。
生徒:栗を買いに行こうと初めて思いました。
先生:良かった! 続いては「カボチャのオーブン焼き」にいきますよ。坊ちゃんカボチャは横半分に切って種を取り除きます。上からオリーブオイルをまわしかけ、200℃に温めたオーブンで40~50分じっくり焼きましょう。アーモンドとクルミは乾煎りしてから粗めに刻んでね。イタリアンパセリ、チャービル、ディル、ミントは葉の部分を摘んでおきましょう。焼き上がったカボチャに赤ワインビネガーと粗塩をかけて、ハーブとナッツを合わせたものを盛りつけます。
生徒:えーっ。
先生:どうしました?
生徒:簡単ですね。
先生:うふふ。それでいておいしいのよ~。ミントは必ず使ってほしいけど、ハーブはすべて揃えなくても大丈夫。ミックスしたほうが複雑な味にはなります。
生徒:赤ワインビネガーがカボチャのもったり感を引き締めて、苦手な人も食べやすそう。
先生:最後は「里芋のミルクピュレ」です。里芋の皮をむいて、半分に切ったら塩で揉みながらよく洗って、ぬめりを取りましょう。
生徒:里芋の皮は厚めにむくんですよね!
先生:まさしく。里芋を鍋に入れて、たっぷりの水から竹串がすっと通るまで茹でて、ザルに取ります。茹でた湯を捨てたら、同じ鍋に里芋と牛乳を入れて20~30分ほど弱火で煮ます。水分が減ったら火を止め、マッシャーなどでつぶして塩をふり、再び弱火にかけながら、木べらでなめらかになるまで混ぜます。銀杏と黒パンを添えて、ピュレをパンにのせたり、銀杏と一緒に食べてもおいしいの。
生徒:銀杏がお洒落に見えたのは人生初です。
1.栗のポタージュ
〈材料〉3〜4人分
栗…400g
鶏もも肉…1枚
水…600㎖
玉ネギ…1/4個
バター…10g
タイム…2~3本
粟餅…1切れ
塩、白胡椒…各適量
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〈作り方〉
1.栗はたっぷりの湯で30分ほど茹でる。茹で上がった栗は半分に切り、スプーンで実をくりぬく。
2.鶏もも肉は余分な脂を取り除き、鍋に入れ、分量の水を注ぎ、中火にかけ、沸騰してから5分ほど茹で、火を止めフタをして20分ほどおいておく(鶏スープの出来上がり量は500㎖)。
3.玉ネギは横に薄切りにする。
4.鍋にバターを溶かし、玉ネギを加えてしんなりするまで炒め、栗(仕上げ用に少量残す)、鶏スープ(300㎖)、タイム、塩を加えて弱火で25分煮る。火を止め、ハンディブレンダーでなめらかに撹拌する。残りの鶏スープ(200㎖)を好みの濃度になるように様子を見ながら加える(全量を使わなくてよい)。塩を加えて味を調える。
5.温めたスープ皿によそい、小さく切って焼いた粟餅をのせ、残しておいた栗を散らして白胡椒を挽く。
2.カボチャのオーブン焼き
〈材料〉2人分
坊ちゃんカボチャ…1個(370g)
アーモンド、クルミ…各25g
イタリアンパセリ、チャービル、ディル、ミント…各1/6パック
オリーブオイル…大さじ2
赤ワインビネガー…大さじ1と1/2
粗塩…適量
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〈作り方〉
1.坊ちゃんカボチャは横半分に切り、種を取り除く。オリーブオイルをまわしかけ、200℃に温めたオーブンで40~50分じっくり焼く。
2.アーモンドとクルミは乾煎りしてから粗めに刻む。イタリアンパセリ、チャービル、ディル、ミントは葉の部分を摘む。
3.焼き上がったカボチャに赤ワインビネガー、粗塩をかけ、ハーブとナッツを合わせて盛る。
※坊ちゃんカボチャがない場合は、普通のカボチャ1/4個を使う。
※ハーブは1~2種類でも。ミントはあるとよい。
3.里芋のミルクピュレ
〈材料〉2人分
里芋…中6個(360g)
牛乳…120㎖
塩…小さじ1/5
銀杏…適量
黒パン…適量
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〈作り方〉
1.里芋は皮をむき、半分に切って塩(分量外)で揉み、ぬめりを取って洗う。鍋に入れ、たっぷりの水から竹串がすっと通るまで茹で、ザルに取る。
2.茹でた湯を捨てた鍋に、里芋と牛乳を入れて20~30分、弱火で煮る。
3.水分が少なくなったら、火を止めマッシャーか麺棒でつぶし、塩をふって、再び弱火にかけながら木べらなどでなめらかになるようによく混ぜる。素揚げした銀杏、トーストした黒パンとともに供する。


渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida