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熱帯雨林のような空間に。植物に囲まれた、作家・市川拓司さんの書斎。November 16, 2025

縦横無尽な植物と共生しながら創作する。

熱帯雨林のような空間に。植物に囲まれた、作家・市川拓司さんの書斎。「武蔵野の森の近くで育ったから、植物がないと落ち着かない」という書斎は、まるで植物園のよう。棚にあるオブジェなどもほとんどが自作。
「武蔵野の森の近くで育ったから、植物がないと落ち着かない」という書斎は、まるで植物園のよう。棚にあるオブジェなどもほとんどが自作。

 子どもの頃から押し入れにこもるのが好きだったという作家・市川拓司さんが、設計士の従兄弟に「とにかく狭くしてほしい」と依頼して作った書斎。一枚板のデスク、実用的にDIYした棚や引き出し。水槽や鬱蒼とした植物が最小限のスペースを覆い尽くしている。

「“スタディ”というより“デン(洞穴)”に近いですね。最初に置いたポトスは、家とともに歴史を重ね、空間を縦横無尽に巡っています。フランスの植物学者が提案した壁に沿って植物を育てるバーティカルガーデンを、20年ほど前に知り、ずっと憧れていました」

 机上にはデスクトップパソコンのほか、工具、絵の具、自作の木製玩具、オブジェなど、一見、執筆のための道具とは思えないようなものも。

「これらは意味なく置いてあるわけではないんです。筆が止まったら手遊びするし、植物に水もやる。ここで作品に登場したアイテムを実際に作ることもあれば、先に作ったものを、物語に登場させることもあります」

「僕の頭の中そのもの」というこの書斎も、少しずつ思い描く形に近づけている真っ最中だ。

「いつかは熱帯雨林のようにしたい。混沌として見える仕事机も自分なりの快適な秩序はあって、その取捨選択は、おそらく意識的にやっているんだと思います」

市川拓司 Takuji Ichikawa作家

2002年に『Separation』(アルファポリス)でデビュー。’03年発表の『いま、会いにゆきます』(小学館)は140万部のベストセラーとなり、映画、ドラマ化も。最新作に原案、脚本を手がけた映画『愛とは、生きてほしいと願うこと』。

photo : Yuka Uesawa text : Mick Nomura

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