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作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。新しい暮らしが見つかる店。May 18, 2025

2025年6月号の「新しい暮らしに出合える、店ともの。」は、まだ見ぬアイテムや、新鮮な暮らしのスタイルに出合える13軒が登場。ここでは、兵庫・神戸『VAGUE KOBE』をWEBで特別に公開します。

作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。
左は〈Teruhiro Yanagihara Studio〉が〈エルメス〉のためにデザインしたチェア。

空間からプロダクトまでを幅広く手がけ、アーティストやブランドとコラボレーションするなど、国やジャンルを問わず活躍する柳原照弘さん。率いる〈Teruhiro Yanagihara Studio〉の新拠点としたのが神戸。旧居留地を代表する近代建築、チャータードビルに構えた『ヴァーグ コウベ』は、アトリエとともにあるギャラリーショップだ。

作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。
『ヴァーグ コウベ』を主宰する柳原照弘さんがクリエイティブディレクターを務めた〈1616 / arita japan〉の器や、アートブックが並ぶブックショップの部屋。
作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。
グロサリーのジャムやピクルスなどの瓶詰は、ここを訪れた料理人たちによる「Jar in Jar」プロジェクトの一環として作られる。
作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。
陶芸家・石井直人の作品も常設。

「空間デザインに取り組むうち、インテリアも要素の一つであって、人がその場で体験できること、見えない空気感をどうデザインするかを考えるようになりました。遡れば20代で訪ねたインゲヤード・ローマンのアトリエでは、島で一番おいしいパンを買ってキャンドルを灯してもてなしてくれた。居心地の大事さを実感した、その時間は忘れられません。コロナ禍を経て、そんな体験の場を提案することが使命と感じるように」と柳原さん。

作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。
柳原さんが手にするのは、インゲヤード・ローマンによる陶芸作品。『ヴァーグ コウベ』のために制作したものが、毎年秋に入荷する。
作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。
日本の籠を探求する〈Light & Will〉による沢胡桃の籠なども扱う。

2021年にフランスに作られた『ヴァーグ アルル』に続き、この場所が誕生したのは'23年10月のこと。500㎡を超えるワンフロアは緩やかに間仕切りされて10の空間となり、少しずつ空気感を変えて繋がる。次の部屋から顔を覗かせるアートや光に誘われ、自然と回遊したくなる仕掛けだ。そこに置かれているのは坂本紬野子らのアート作品、寒川義雄のオリジナルの器、空間をデザインする香りのプロダクト〈LICHEN〉、海外のアーティストから届くアートブックなど、柳原さんや『ヴァーグ』と作り手との関係性から育まれた作品やプロダクト。プラットフォームができたことで世界中から作り手が集まり、また新たなクリエイションが生まれる。デザインと繋がる体験の場としてのカフェに加え、今春からは中国茶の文化を伝える茶房やレストランも登場。柳原さんが大切にする食とデザインとが繋がる場所でもある。

作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。
ルーフトップに場所を移し、4月25日にオープンするカフェ『ヴァーグキッチン』で過ごす柳原さん。アラカルトやワイン、スイーツなどが楽しめるほか、テイクアウトも始まる。窓の外には都会とは思えない広々とした空の見える屋上がある。
作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。
大通りに面した部屋には、美しい光が差す。
作り手と育むプロダクトが巨大空間に結集。兵庫・神戸『VAGUE KOBE』。
4階は中国茶や台湾茶のメニューを茶室のように楽しめる空間に。

ヴァーグとは波という意。人が集うことで生まれる揺らめきが、どこまでも繋がって創造の源となる。その瞬間を共有できる幸せを噛み締めたい。

VAGUE KOBE

神戸市中央区海岸通9−2−4F・RF ☎080−9308−0759 12:00〜18:00 火〜木休 営業の詳細はInstagram(@vague_kobe)で確認を。

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photo : Yoshiko Watanabe edit & text : Mako Yamato

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