私の好きな、心が整う聖地。
熊本 ・上色見熊野座神社で出合った、異世界への入り口。精神科医・星野概念さんの好きな聖地。August 12, 2025
神社仏閣、庭園、湖、山……。古くから人々の祈りが込められてきた場所には、ただそこに身を置くだけで、内側から満たされる力がある。癒やされたいとき、心を鎮めたいとき、自分を見つめ直したいとき、ふと訪れたくなる。8人に聞いた、とっておきの〝私の聖地〞。

水を巡る旅で出合った、異世界への入り口。
古事記を読んで日本にはいろんな神様がいることを知り、神社を巡るようになりました。神社と一括りにしても、場所ごとに感じるものが違うから面白い。ここを訪れたときは、着いた瞬間に直前まで降った雨がやんで、縁を感じました。清らかな空気が流れるなか、石段を登っていくと待ち受けていたのが大きな風穴。そこから先は結界が張られていて入れないのですが、向こう側から流れる神秘的な空気に圧倒されました。自然と畏怖の念が湧いて、すっと姿勢を正すような気持ちに。
上色見熊野座神社
創建は鎌倉時代末期から室町時代と伝わり、ご祭神は伊弉諾尊、伊邪那美尊と阿蘇大明神の荒魂「石君大将軍」を祀る。神殿へ続く参道沿いには、97基もの石灯籠が並ぶ。

星野概念精神科医
作家やミュージシャンとしても活動。著書に、『ないようである、かもしれない』(ミシマ社)、『こころをそのまま感じられたら』(講談社)など。