Beauty

キレイの理屈じわっとほぐし、心身をリラックスさせる入浴剤。『&Premium』No. 63 2019年3月号「&Beauty」より / January 28, 2019

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BATHCLIN | KIKI-YU
温泉を科学した2つの独自成分、炭酸ガスと温泉ミネラルがたっぷり含まれた、発泡タイプの入浴剤。右から、きき湯 ミョウバン炭酸湯、同 マグネシウム炭酸湯、同 カリウム芒硝炭酸湯、同 カルシウム炭酸湯、同 食塩炭酸湯、同 クレイ重曹炭酸湯 360g 各¥838*編集部調べ(バスクリン ☎︎0120−39−8496)

入浴剤といえば、「バスクリン」を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。その昔、入浴剤は贅沢品として珍重される存在だった。
「バスクリン」の歴史は、明治30年まで遡る。この頃はまだ薬品メーカー〈津村順天堂〉として生薬を扱っていた。社員がこの生薬の残りを持ち帰り行水したところ、湿疹がよくなった、体が温まったといった感想が。これをヒントに製品化されたのが、「くすり湯 浴剤中将湯」だ。当時は、内風呂のある家は少なく、銭湯に通うのが一般的だったので、銭湯に業務用として販売していたそう。
この入浴剤は口コミで広がっていくが、その中で「夏場は汗が引かない。もう少し夏向けの入浴剤はないか?」という要望をきっかけに生まれたのが「バスクリン」製品だ。これが昭和5年のこと。パインニードルで、爽やかな色と香りを実現したその製品は大人気に。そのうち徐々に家庭にも内風呂が普及し、昭和35年には家庭用としてジャスミンの香りを発売。類を見ない芳醇な香りが受けて、さらに売り上げを伸ばした。テレビの普及も手伝い、「遠くの温泉より我が家で温泉気分、バスクリン」の耳馴染みのいいCM効果と、競合製品の登場によって、入浴剤市場は活性化し、拡大。そんな時に生まれたのが、白濁したお湯が印象的な”日本の名湯”シリーズだ。温泉を意識した濁り湯は、またもや人気に火をつけた。
ギフトにも重宝され始めた入浴剤は、百貨店にも進出し、温まる入浴剤からスキンケア入浴剤の時代へ移行。その後、広告競争も激化してきたときに満を持して登場したのが”きき湯”シリーズ。疲労回復を意識し、季節感と温泉のいいとこ取りをしたのが特徴的で、炭酸のつぶつぶが温浴効果を高めて血行促進するという効能や、バリエーションが豊富なことも人気を後押し。あるテレビ番組で紹介されたことをきっかけに、入浴剤ブランドの代表的製品へ。心身が巡るとこんなにも体が温まり、リラックスし、ストレスがほぐれるのを実感した消費者は、こぞって手に取ることになる。
混沌とした社会や複雑な人間関係により、ストレスフルな現代に、一番求められているのは「癒やし」なのかもしれない。その日のうちに手軽に疲れをリセットできる”きき湯”シリーズの存在は、私たちが思っている以上に大きいようだ。

文/久保直子
くぼ・なおこ/ウェルネス&ビューティジャーナリスト。植物療法(フィトテラピー)をツールに、ココロカラダハダケアについて独自発信。

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