TRAVEL あの町で。

哀愁を感じさせる、クラシックモダンな高原。イラストレーター・日向山葵さんが語る、栃木県・那須塩原。December 03, 2024

繰り返し訪れているからこそ知っている、季節によって変わりゆく景色。いつも変わらないあの店、必ず買って帰るお土産、ふだんの町並み。旅好きのあの人が語る、何度も足を運んでいる町とその魅力とは。

黒磯駅を抜けたら『明治屋』の温泉まんじゅうを。

黒磯駅を抜けたら『明治屋』の温泉まんじゅうを。日向山葵さんが語る、栃木県・那須塩原。
那須塩原駅からJR宇都宮線で1駅の黒磯駅には、老舗和菓子店『御菓子司処 明治屋』などが立ち並ぶ。

黒磯駅を抜けたら『明治屋』の温泉まんじゅうを。自宅にこもって仕事しているので、ちょっとくたびれたら湯治目的で旅をします。ただ、免許を持っていないので、移動はもっぱら電車。都内からアクセスがよく、一泊二日で十分に満足できる場所といえばここ。皇室専用出口や貴賓室があるモダンな駅舎の黒磯駅を抜けたら、まずはすぐそばの『御菓子司処 明治屋』で、サービスの温かいお茶と一緒にふかしたての温泉まんじゅうを。せっせと作る菓子職人の姿も格好いいし、接客も温かくて、思わず腰を落ち着かせてしまいます。同じく駅近くにあり、散策中に偶然見つけた『吉田商店』は、所狭しと並んだ古道具が圧巻です。友人の家族が営む『古民家カフェ/染織工房 yumeya』では、気分屋の看板猫に会えたらラッキー。空気が澄んでいて、木々に囲まれた店の前にはきれいな小川が流れ、その様子を見ているだけで心が洗われます。囲炉裏を囲んで飲むコーヒーとガレットも楽しみのひとつ。『那須温泉 鹿の湯』の湯は40℃以上の高温で、いつも数分と経たず飛び出てしまうのですが、一気に体の血が巡る感じがクセになる。宿泊ならゲルに泊まれる『モンゴリアビレッジ テンゲル』一択でしょう。あとから気づいたことですが、那須は子どもの頃に家族でよく来ていたよう。当時行っていた店などを偶然いまも訪れていて、不思議と縁を感じてしまいます。


那須塩原 栃木県
Nasushiobara Tochigi
黒磯市、那須郡西那須野町、塩原町が新設合併して那須塩原市に。標高が200m以上あり高原特有の冷涼な気候により避暑地としても人気が高い。東京駅から那須塩原駅までは東北新幹線で約1時間15分。

日向山葵 Wasabi Hinata
イラストレーター
旅2018年よりフリーランスとして活動を開始。主に音楽や映画、アートなどのカルチャー系メディアでイラストや漫画を制作する。現在、トーチwebにて漫画『多摩ニューおーるどCITY』連載中。

illustration : Naoya Sanuki text : Shoko Matsumoto

Pick Up 注目の記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 133カフェと音楽。2024.11.20 — 960円