THE PROFESSIONAL EYES アーティスト、長場雄さんの瞳の奥に宿るもの — PRODUCED BY マガジンハウス クリエイティブスタジオ | Article | & Premium (アンド プレミアム)

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Nichiyohin

PRODUCED BY マガジンハウス クリエイティブスタジオ / May 11, 2021 / 〔PR〕 THE PROFESSIONAL EYES アーティスト、長場雄さんの瞳の奥に宿るもの

THE PROFESSIONAL EYES  瞳の奥に宿るもの

ARTIST 長場 雄

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目にしているものが、自然と作品にも表れる。
だから、自分が好きなものを見ていたい。

木々に囲まれた場所にアトリエを構えるアーティストの長場雄さん。“緑との共生”をコンセプトにした集合住宅の中にある独立型の一軒家。その室内は穏やかでゆるやかだ。
「もともと知り合いの事務所がこのエリアにあって、来るたびに気持ちがいいなと思ってたんです。以前のアトリエから引っ越しを考えたときにほかの物件も見たんですが、ここを超えるところがなくて。不動産会社にいた知人から空室が出たと連絡をもらい、去年引っ越してきました」
 建物は2階建て。1階は大型作品を制作するスペース、2階ではデスクを置いて絵を描く。L字形の大きな窓から外を眺めると、季節によって表情を変える自然の様子が楽しめる。
「ふだん目にしているものが作品にも表れると思うので、なるべく好きなもの、気持ちがいいものを見ていたい。そうするとマインドも変わる気がします。ここにいると作業の途中、ふと目を向けた先の風景に癒やされるし、たまに下を見るといい車が停まっていたりして。そういうものを見られると幸せな気持ちになります」

 シンプルなラインで軽妙に、かつ人物の特徴を掴む長場さんの作品。現在は広告や雑誌、書籍、アパレルブランドとのコラボだけでなく、アーティストとして作品も発表するなど幅広く活躍。時代の潮流を捉えた作品は、多くの人が一目見て長場さんの作品だとわかるが、その作風を確立するまでに時間もかかった。
「なかなかスタイルが定まらず、ずっとこのままでいいのかと。それが30代に入った頃、自分が表現したいものって何だろうと思って、服、映画、アート、とにかくいろんなものを観て、好きか嫌いかを取捨選択するようになりました」

 
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長場 雄 アーティスト
●ながば・ゆう 1976年東京都生まれ。10歳のときに父の仕事の都合でトルコへ渡り、油絵を描くアーティストのもとで絵を学ぶ。東京造形大学卒業後、アパレル企業に約6年在籍し、Tシャツのグラフィックデザインを担当。働きながら創作活動をスタート。アパレルブランドへのデザインワーク提供のほか、雑誌の連載、広告、装丁画、挿画、パッケージデザインなど幅広く活動。UNIQLO、ASICS、G-SHOCK、BEAMSとのコラボレーション、RIMOWA、Technicsなど国内外問わず、さまざまなクライアントにアートワークを提供。個展『Have a nice day』 (Meee Gallery、東京、2014年)、個展『Express More with Less』(GALLERY TARGET、東京、2019年)、個展『The Last Supper』(SAI、東京、2020年)などがある。

 
伝説的なミュージシャンや俳優を描いたアイコンシリーズは長場さんの代表作の一つ。「最近は街を歩いている一般の人を描くことも増えました。表参道を歩いているおしゃれな人を見るのが好きなんですよね。彼らを描くことで“東京のリアル”を映し出せたら」
伝説的なミュージシャンや俳優を描いたアイコンシリーズは長場さんの代表作の一つ。「最近は街を歩いている一般の人を描くことも増えました。表参道を歩いているおしゃれな人を見るのが好きなんですよね。彼らを描くことで“東京のリアル”を映し出せたら」

心身を整えて、安定したリズムで、淡々と絵を描く。

そうする中で、だんだんと自然と心が動くものの対象が輪郭を帯びてきた。ドナルド・ジャッド、デイヴィッド・ホックニー、ソール・スタインバーグ……。自分はシンプルなものに惹かれるのだと気付いた。
「そこからは無駄を削ぎ落としてどんどんミニマルに。色を使うこともやめました」
 好きなものに向き合い、ひたすらペンを走らせる。そして、転機が訪れた。2014年に『POPEYE』で表紙を飾ったことで、多くの注目を集めることになったのだ。
 日々ジャンルを横断しながら、数多くのアートワークに励む長場さんだが、本人はこちらが驚くほど気負いがない。

「沸き起こる感情をキャンバスにぶつけるタイプではないので、安定したリズムで絵を描きたい。だから、日々のコンディションがブレないように健康管理には気を使っています」
 平日朝9時半から夕方6時半まで。淡々と絵を描き、残業はなるべくしないと決めている。休日前でも夜更かしはほぼしないという。
「30代前半までは夜な夜な飲みに出歩いて、それなりに楽しかったけど、それがいいパフォーマンスにつながったかといわれればそうではなかった。今はコロナ禍で夜に出歩くこともなくなって、より規則正しい生活になりました」
 日々をルーティン化することは、制作の質を一定に保つことにつながる。とはいえ、ずっと集中して絵を描いていると疲れもやってくる。
「同じ体勢で作業をしていると猫背になりがちで、肩や肩甲骨のあたりがだるくなったり、ひどい時は腕が腱鞘炎になったこともありました。体のケアは自分でできるようにと思って、ピラティスに通い始めたんです」
 正しい骨格を意識して、体幹の筋肉を鍛えるピラティスは姿勢改善や肩こり、腰痛の解消だけでなく、自律神経を整えるともいわれている。
「始めてからまだ日は浅いですが、今まで動かしていなかった体の筋肉がほぐされている気がするし、体が正しい位置に戻る感じがしてスッキリする。これも習慣化したいものの一つです」

 また、目のケアも大事にしたいという。
「集中して作業を続けていると夕方頃に目がかすんできて、疲れを感じることもあります。今回の取材で、目を酷使すると角膜が傷つきやすくなって、かすみや疲労を引き起こす原因になると聞いて驚きました。これからは傷付いた角膜をきちんと修復してくれる目薬を選びたいですね。目が疲れていると体調にも影響しますし、視力が悪くなったら仕事を続けられないですから」

 
下書きした後、ペン入れをした絵をスキャンして、PCで仕上げをする。「”この線、いるかな。いや、やっぱりいらないかな”とかPC上ではトライアンドエラーの連続です」。シンプルだからこそ、一本の線にどれだけの情報を入れられるかを意識して制作している。
下書きした後、ペン入れをした絵をスキャンして、PCで仕上げをする。「"この線、いるかな。いや、やっぱりいらないかな"とかPC上ではトライアンドエラーの連続です」。シンプルだからこそ、一本の線にどれだけの情報を入れられるかを意識して制作している。
 
長場さんが影響を受けたアーティストが一つのテーブルに集合した『The Last Supper』。4mの巨大なキャンパス作品で、昨年開催した個展のタイトルにもなった。
長場さんが影響を受けたアーティストが一つのテーブルに集合した『The Last Supper』。4mの巨大なキャンパス作品で、昨年開催した個展のタイトルにもなった。

独りよがりにならないよう自分が描いた作品を冷静に見つめる目も必要。

 第一線を走り続ける長場さんは、自己との対話を静かに続ける人でもある。
「キャリアが長くなってくるとマンネリ化というか、自分が積み上げたものの上に重ねている気がしてくる。だから、自分自身が過去にとらわれないように。“この作品の評判がよかったから、次もこういうものを作ろう”とは思わない。二番煎じになってないか、おもしろい効果を生んでいるのかと自問する。少しずつでもいいから成長したいという気持ちがあるんです」
 そして、長場さんが描くことと同じくらい大事にしているのが自分の絵を見つめる冷静さだ。
「どこを残して、どこを捨てるのか。なるだけ線を入れずに人に想像してもらうことが大切なので客観視するようにしています。一気に描きあげたその勢いで観るのではなく、時間をあけてから観る。すると“あ、この線はいらないな”とわかるんです。自分が満足したとしても、独りよがりの作品は相手に伝わらないと思うから」
 流行から離れたいと長場さんはいう。その言葉の背景には、純粋に自分の興味が湧くものを見つけたい、という気持ちがある。
「好きなものを固定してしまうのがいやだなと思っていて。“この世界にはおもしろいものがもっとあるんじゃないか”と、自分の足で貪欲に探しに行きたい。そうやって、楽しむことが絵にもそのまま表れると思っています」

 

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取材・文/浦本真梨子 撮影/若木信吾 編集/ニッセンシュウ

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