LIFESTYLE ベターライフな暮らしのこと。
真っ白な空間には、花で彩りを。セレクトショップオーナー・石谷唯起子さんに学ぶ、花の飾り方。August 05, 2025
花を飾ること。それは毎日の暮らしに彩りをもたらしてくれる素敵な習慣。ダイニングテーブルや書斎、キッチン、お気に入りのコーナーなど、花との暮らしを満喫しているセレクトショップオーナー・石谷唯起子さんに、日々の風景を見せてもらいましたた。
&Premium特別編集(2023年4月発売)「花と緑を愛でる」より、webでも特別に紹介します。
曲線が美しい花に、石を添えて。

「私の名前にその一文字が入っているからか、石が好きなんです」と語る石谷唯起子さんの家にはそこかしこに石が飾られているが、共に揃える陶製の花器も、どこか石を連想させる。山田由起子や梅本勇といった新進の作陶家の、個性的なフォルムのものばかりを、窓辺はもちろんキッチン、サニタリーなどにも置いて、長いままの花を生けるのが定番だ。
「生命力や自然を感じるような素材、見た目に心惹かれるほうなんですが、それは花も同様で。長い茎が花の重みに耐えられず、だんだんと首を傾けていく様子に、はかなさや美しさを覚えるんです」
日々生ける花は、小手鞠やチドリソウのように素朴だったり、スイートピーのように可憐だったり。自身の店とも近い、東京・松陰神社前の『ドゥフト』や、商店街の昔からあるような花屋にも通う。
「昨日はラナンキュラス、リューココリネをセレクト。混在させず種類ごとにまとめて挿して“ありのまま風”にし、それを眺めるのが至福です」
この家に大きな家具はほとんどない。それでも花はあちらこちらに何かしらがいつも咲いている。だから真っ白な空間でも「つねににぎやか」だという。そんなエピソードからもわかるのは、石谷さんにとって花はごく近しいものなんだということ。
「花を“飾る”という表現は私にはしっくりきません。ただ居場所をつくってあげて、同じ空間に一緒にいる、そんな感じなんです」

石谷唯起子セレクトショップオーナー
東京・世田谷の松陰神社通り商店街の中ほどにあるセレクトショップ『This___』を運営。暮らしまわりのものや衣類などが揃い、作家の花器も扱う。店頭用の花は、羽根木の『マルタ』や〈ふたつの月〉の平松朋子さんにオーダー。
photo : Kazumasa Harada illustration : Shapre text : Marika Nakashima