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菓子研究家・福田里香さんとイラストレーター・塩川いづみさんに聞いた、大切に使い続けたくなるクッキー缶。February 13, 2026

数々のクッキー缶をプロデュースしてきた菓子研究家・福田里香さんと、クッキー缶のイラストも手がけるイラストレーター・塩川いづみさん。そんな二人がタッグを組んだクッキー缶が、〈DEAN & DELUCA〉から発売に。今回は、今も家で大切に使い続けている、佇まいが美しいクッキー缶を見せてもらいながら、その魅力を教えてもらいました。

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それぞれの"かわいい"を持ち寄って、
ドイツ生まれの伝統菓子をモダンにアレンジしたクッキー缶。

福田里香(以下、福田):今回、塩川さんと作った〈DEAN & DELUCA〉のクッキー缶に入っている焼菓子「ベーレンタッツェン」は、ドイツ語で「くまの手」(ベーレン=熊、タッツェン=手)を意味する、ドイツの伝統菓子です。缶にくまを登場させたいなと考えていたのですが、塩川さんのタッチで描いたくまが見てみたいと思い、缶のイラストをお願いしました。

塩川いづみ(以下、塩川):ありがとうございます。缶が硬い素材なので、手描きで柔らかい印象を出したくて、墨で何パターンか描きました。結果的に、ベルリンの街のモチーフになっているくまをイメージした仕上がりになりましたね。よく見ると、爪が生えているのもポイントです。

福田:あどけない表情も絶妙ですよね。ドイツの国旗に合わせた黒、赤、黄色の手描きの文字も〈DEAN & DELUCA〉のロゴとなじんでいて、素敵です。中身に関しては、食べやすいひとくちサイズを目指しました。味はメープル、ココア、コーヒー、スパイスの四種類あって、それぞれにダークチョコレートかホワイトチョコレートをディップしています。チョコレートがついている部分を先に食べるか後に食べるかでも後味が変わってきますよ。

塩川:中にもチョコレートが挟まっているのですが、生地にスパイスが効いていて香ばしいですよね。甘すぎず大人っぽい味で、コーヒーと合わせて食べたくなる。味も福田さんが決めているんですか?

福田:そうですね。まず自分で試作品を作って、職人さんにイメージを伝えたうえで、おいしく仕上げていただきました。塩川さんはイラストを描くときに意識したことはありますか?

塩川:パッケージのデザインを依頼していただくときは、どれだけ依頼者の”かわいい”に共感できるか、が大事かなと思っています。それぞれが持っている”かわいい”のイメージをすり合わせて、ゴールを探す過程が面白い。今回だと、〈DEAN & DELUCA〉の洗練された印象に合わせて、性別問わず手に取りやすいかわいさになったのではと思います。

福田:可愛いって、愛を可にする、と書きますよね。それほど強い感情だと思います。食べたいくらいかわいいって言うじゃないですか。かわいいものを作れば、手に取ってもらえるんじゃないかなって。今回も、作っていく中でみんなのかわいいが合致したときに、光がぱーっと差すような感覚がありましたね。

塩川:この缶も、食べ終わった後まで長く使ってもらえたら嬉しいなと思います。

IMG_8449 | 〈DEAN & DELUCA〉と福田さんが手がけた「ベーレンタッツェン」。「くまの手」モチーフのクッキー4種類が入っていて、MとSの2サイズ展開。
〈DEAN & DELUCA〉と福田さんが手がけた「ベーレンタッツェン」。「くまの手」モチーフのクッキー4種類が入っていて、MとSの2サイズ展開。
IMG_8453 | Sサイズの缶には、裏側にくまの手形があしらわれている。
Sサイズの缶には、裏側にくまの手形があしらわれている。
IMG_8260-Edit | 福田さんによる、パッケージデザインのラフスケッチ。白くまと黒くまの二匹が登場するパターンも候補にあったそう。
福田さんによる、パッケージデザインのラフスケッチ。白くまと黒くまの二匹が登場するパターンも候補にあったそう。
菓子研究家・福田里香さんとイラストレーター・塩川いづみさんが語る、クッキー缶の楽しみ。 | 塩川さんによる、くまのラフ案。写真手前の霧に包まれたような輪郭のくまは、二人のお気に入りとのこと。
塩川さんによる、くまのラフ案。写真手前の霧に包まれたような輪郭のくまは、二人のお気に入りとのこと。

佇まいが美しい、
二人が愛するクッキー缶。

塩川:私は、クッキー缶には第二の人生があると思っていて、中のクッキーを食べた後も、デザインの好きな缶は絵の具や子どものおもちゃなどを入れて使っています。だから、誰かへの手土産として持って行くときも、缶を長く使ってくれたら良いなと思って渡していますね。

福田:今回、家から持ってきた東京・半蔵門『村上開新堂』のクッキー缶は、カトラリー入れとして使っています。ロゴやイラストが入っていない、潔いシンプルなピンクが美しい。経年変化による色落ちも愛おしいですね。何個か持っていて、買ったタイミングで色合いに違いが出てくるのも楽しいです。

塩川:もともと、白色の種類もあるのかと思ったら、全部同じ色だったのですね。縁だけピンクが残っているものも素敵です。

福田:もう一種類、東京・尾山台『オーボンヴュータン』の「プティ・フール・セック」は、技術の粋を尽くした逸品です。クッキーが何種類か入っているのですが、全員がセンター級の美味しさで、それでいて味が喧嘩しないのもすごい。この缶は、果物の皮むきや彫刻刀など、道具箱として使っています。

塩川:私は、イギリス・ロンドンのおみやげで貰ったバーボンビスケットの缶を持ってきました。中に入っているクッキーをそのまま大きくしたような見た目の缶がかわいくて、今でも絵の具を入れて愛用しています。

福田:かわいい!この厚さもちょうど良いですね。中で絵の具が迷子にならない。

塩川:そうなんです。もうひとつは、富山のZAXFOX菓子研究所と福田さんが手がけた「チージィーポッシュ」。デザインが好きでとっておいたら、いつの間にか子どもがおもちゃ箱として使っていました。

福田:お子さんによるクレヨンの跡が愛らしいですね。実際に使っているからこその味が出ている。どんどん書き込んでほしいです。

福田さんお気に入りのクッキー缶

IMG_8390 | 福田さんが少しずつ集めてきた東京・半蔵門『村上開新堂』のクッキー缶。大きい方は会員限定の商品なので入手困難だが、小さい方のクッキー缶はお店の一角に併設された『山本道子の店』で誰でも購入できるそう。
福田さんが少しずつ集めてきた東京・半蔵門『村上開新堂』のクッキー缶。大きい方は会員限定の商品なので入手困難だが、小さい方のクッキー缶はお店の一角に併設された『山本道子の店』で誰でも購入できるそう。
IMG_8351 | 金の格子模様が美しい、東京・尾山台『オーボンヴュータン』の「プティ・フール・セック」。この缶は福田さんが20年以上前に購入したもので、今でも道具箱として愛用している。
金の格子模様が美しい、東京・尾山台『オーボンヴュータン』の「プティ・フール・セック」。この缶は福田さんが20年以上前に購入したもので、今でも道具箱として愛用している。

塩川さんお気に入りのクッキー缶

IMG_8408 | 塩川さんがロンドン土産でもらったというバーボンビスケットの缶。少し凹んだ形の側面はクッキーに挟まっているチョコレートを表している。
塩川さんがロンドン土産でもらったというバーボンビスケットの缶。少し凹んだ形の側面はクッキーに挟まっているチョコレートを表している。
IMG_8416 | 富山のZAXFOX菓子研究所とクリエイティブユニットKIGI、福田さんのコラボレーションによって生まれた「チージィーポッシュ」。花のモチーフがちりばめられている中にネズミや猫が隠れている、遊び心のあるデザイン。
富山のZAXFOX菓子研究所とクリエイティブユニットKIGI、福田さんのコラボレーションによって生まれた「チージィーポッシュ」。花のモチーフがちりばめられている中にネズミや猫が隠れている、遊び心のあるデザイン。
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福田里香菓子研究家

福岡県出身。お菓子のレシピ開発を中心に食にまつわるモノ・コトのディレクションを手がける。著書にフード演出をまとめたコラム集『物語をおいしく読み解く フード理論とステレオタイプ50』(文春文庫)など多数。

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塩川いづみイラストレーター

長野県生まれ。広告、書籍、雑誌、プロダクトのイラストレーションを中心に活動するほか、作品の展示発表も行う。対象の内面や背景に思いを巡らせて描かれる率直な表現が、幅広く支持を集めている。

〈DEAN & DELUCA〉ベーレンタッツェン

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右から、ベーレンタッツェン ギフト缶・M(8個入り)¥4,104、ベーレンタッツェン ギフト缶・S(4個入り)¥1,944 〈DEAN & DELUCA〉マーケットストア、一部カフェ店舗、オンラインストアで販売中。

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