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道南いさりび鉄道線で出合う、四季の津軽海峡。徳永ゆうきさんの忘れられない車窓風景。July 01, 2025

&Premium140号(2025年8月号)「心を整える、日本の旅」より、演歌歌手・徳永ゆうきさんが旅する中で出合った忘れられない列車と車窓風景を特別にwebサイトでも紹介します。

北海道 ー道南いさりび鉄道線

演歌歌手・徳永ゆうきさんの忘れられない列車と車窓風景。
上磯駅から上磯トンネルを抜けて矢不来信号場を通過する際に見える景色が、函館山を一望できるポイントとして人気。

季節によって表情を豊かに変える、日本の四季の移ろいを車窓で堪能。

 津軽海峡に沿ってゆっくりと走る列車。窓の向こうには、函館湾に浮かぶように函館山が佇んでいます。真イカ漁が行われる6月から12月頃の夜には、沖の方にぽつりぽつりと灯るイカ釣り漁船の幻想的な光が見えることも。12月には「夜景列車」が運行され、そのときは車内の明かりが消え、町の明かりや海に映る灯だけを心ゆくまで楽しめます。

 沿線の風景も、この列車に乗る魅力のひとつ。途中下車するのにおすすめの駅は、1986年開業の東久根別駅。無人駅ながら、廃貨車「ワフ29500形」を再利用した趣ある駅舎が残っています。上磯駅の先に見えるセメント工場は、夕暮れや夜になると工場夜景としても美しい。正直に言えば、利用者の多い路線ではありません。でもだからこそ、地域や鉄道会社の方々が一生懸命に盛り上げようとしている姿が伝わってくる。臨時の観光列車が運行されるときは、車内の装飾を社員の方たちが手作りで用意していて、自然と応援したくなるんですよね。車両も季節によって山吹色や濃緑色など4種類のカラーリングが用意されていたり、旧国鉄時代を復刻したデザインも走っていたりと、乗るたびに今回はどの車体に乗れるのかも楽しみ。道中、窓を開ければ潮風がそっと頬を撫で、車窓の風景が一層深く体に入り込んできます。日本には四季があるので、季節ごとに変化する車窓を見たくて、何度でも訪れたくなるんですよね。

道南いさりび鉄道線

北海道の五稜郭駅から木古内駅までを繋ぐ路線として、2016年に開業。6〜10月には、津軽海峡の絶景と地元食材のグルメを楽しめる観光列車「ながまれ海峡号」も運行する。

演歌歌手・徳永ゆうきさんの忘れられない列車と車窓風景。

徳永ゆうき Yuuki Tokunaga演歌歌手

1995年生まれ。3月に最新シングル「明日への翼」をリリース。趣味は鉄道撮影、特技に車掌ものまねがある。音楽活動だけでなく、役者、バラエティなど幅広く活動中。

instagram.com/1113_toku

illustration : Shapre

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