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麻布台ヒルズに〈ビュリー〉のブティックが誕生。ディレクターのヴィクトワールに聞いた、ものづくりの姿勢。April 06, 2024
パリの総合美容専門店『オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー』が1号店をパリ6区ボナパルト通りにオープンしたのは2014年のこと。開業から10年の節目を迎える2024年4月1日、東京・麻布台ヒルズに新たなブティックを構えることになりました。そこで、本誌サイトの連載「ヴィクトワールの素敵な暮らし」でおなじみのブランドディレクター、ヴィクトワール・ドゥ・タイヤックに、〈ビュリー〉のこれまでの10年の軌跡、変わらない姿勢について聞いてみました。
麻布台ヒルズに〈ビュリー〉の新ブティック誕生。
〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉は1803年パリに創業した総合美容薬局を、ヴィクトワールが夫のラムダンと共にリブランドして始めた自然派化粧品と香水の店。天然由来の厳選した成分のみを使用した基礎化粧品やアルコール不使用の水性香水、Cosmos Organic認証の植物オイルなど、自然原料への徹底したこだわりと、世界中から集められたオーセンティックな美容道具が世界の人々に支持されています。とりわけボナパルト店の開店当初からファンが多かったのが日本。〈ビュリー〉は2017年4月に日本に上陸、東京・代官山を皮切りに京都、東京・青山骨董通りなどそれぞれのローカルな風景に融合するブティックを、異才・ラムダンの店舗デザインによりオープンしてきました。そして2024年4月1日、日本で19店舗目となるブティックが麻布台ヒルズに誕生。
麻布台ヒルズ店は「箱の中の箱」!
「新しいお店を開くたびに予期しなかった驚きがあるんです。ボナパルト店はギャラリーに挟まれた場所でしたし、今回は錚々たるラグジュアリーブランドが立ち並ぶ麻布台ヒルズ! でも〈ビュリー〉はどんな場所であろうが、たとえ狭小テナントであっても、ラムダンの魔法のようなクリエイティビティが素敵なスペースに変えてしまうのです。この麻布台ヒルズの店は一軒家で、箱の中の箱といった風情がユニークでしょう? 外観は19世紀のインダストリアルなマルシェのようですが、中に入るとまるで宝石箱。でも外壁のウィンドウにも商品が飾られていたり、外と内が一体になっているところが気に入っています」
世界でここだけの内装デザイン。
内装の壁はよく見ると下から上へ、濃いグリーンからダークブラウンへとグラデーションになっている。
「ちょっと見ただけでは微妙な色の変化がわからないかもしれません。でも眺めているうちにあっ、と気づくはず。実はパリの新しい我が家の壁も同じ色調なんです。ラムダンは気に入ったアイディアを思いつくと、いろんな案件に使いたがるんです」
櫛(コーム)がずらりと並ぶ壁面や、小さなアルコーヴや列柱が反復するデザインはいかにも〈ビュリー〉らしい。
「コームは200種類ぐらいあるかしら。これは多様性を重んじるビュリーの精神を表しています。また、ボディブラシやスポンジなど、世界中の美容用品をコラージュのように陳列した壁面もあります。クリームや香水を買いにいらしたお客さんが『これは何?』と、会話が弾むきっかけにもなりますし、実際にすべて買うことができます」
国境も時代も超えた普遍的なプロダクトを届けたい。
「ビュリーはポップアップ展開や限定品の販売はしません。それは、どこの国の地域でも時代を超えて愛される普遍的な製品をお届けするという自負があるから。古くから受け継がれてきた職人技や衛生習慣の作法、自然由来の美容法をこれからも伝えていきたい。店舗設計に関しても、ずっと永遠に残るようなものを作りたいと考えています。そうした私たちのビジョンを共有してくいるのが、高品質な日本の匠の文化や技術で、いつも我々は助けられています。手仕事の価値をリスペクトする点において日本は群を抜いている特別な国。カリグラフィーや包装の美など、日本の文化が私たちを成長させてくれたと思っています」
ヴィクトワール・ドゥ・タイヤック〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉ブランドディレクター
アーティスティックデザイナーの夫、ラムダン・トゥアミと共に19世紀創業の総合美容専門店を『オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー』として復活させた。著書に世界の美容法を収めた『自然派美容の教科書 アトラス オブ ナチュラル ビューティー』がある。
shop information
『Officine Universelle Buly 麻布台店』
東京都港区麻布台1-2-4 麻布台ヒルズ ガーデンプラザC1階 11:00-20:00 ☎︎03-5545-5512
For Better Life
「ベターライフのために大切にしていることはありますか?」
&Premiumが大切にしている「Better Life(より良き日々)」。それを叶えるためのヒントをヴィクトワールに聞いてみました。
「好きなものだけに囲まれること」:日々好きなもの、美しいものを目にすることが大事だと思います。東京で暮らしていた時、パリから持って行った3つの小さなドローイングを壁に飾っていました。子供たちが散らかして家がぐちゃぐちゃでも、自分を束の間楽しませてくれました。今は愛犬のトントン! あの子が私のそばにいることは、最高のベターライフの秘訣かもしれません。
photo : Mina Soma text : Mari Matsubara