BOOK 本と言葉。

書店主・三田修平さんが手放せない大切な一冊、忘れられないフレーズ。『リング』より。September 23, 2025

書店主・三田修平さんが手放せない大切な一冊、忘れられないフレーズ。『リング』

最良のエンタメ小説から湧き出る力に背中を押される。

映画『リング』の公開時、僕は中3。普段本を読まない子どもでしたが、映画がめちゃめちゃ怖くて面白かったので、原作を手にしました。文字って情報量が少ないが故に自分の想像で補完できる、だから映画より断然怖かった。本の持つ凄みを感じた最初の体験です。特に主人公が相棒に言われるこの台詞、当時も大好きでしたが、大人になるほど背中を押されます。貧弱な想像力は自分にブレーキをかけるけれど、一冊の本から湧き出る想像力はまたポジティブで大きなパワーにもなると教えてくれました。今読み返してもエンタメとして本当に面白いし、紙、電子書籍、オーディブルと読む手段も多い。「本とは単純に楽しいもの」と認知され、手を伸ばしてもらえる一冊だと、書店主としても思います。

書店主・三田修平さんが手放せない大切な一冊、忘れられないフレーズ。『リング』
『リング』著 鈴木光司 (KADOKAWA/角川ホラー文庫)
書店主・三田修平さんが手放せない大切な一冊、忘れられないフレーズ。『リング』

三田修平 Shuhei MitaSelector

書店主。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、都内書店での勤務を経て2012年、移動式本屋『BOOK TRUCK』を始める。’22年、団地内に新しいまちの本屋として『BOOK STAND 若葉台』をオープン。

illustration : Shapre text : Azumi Kubota

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