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ブロックプリンター・向井詩織さんにとって「美しいもの」とは。September 30, 2025

「美しい」を見つめ直すためのヒントを探った、&Premium143号(2025年11月号)「美しい、ということ」より、ブロックプリンター・向井詩織さんの暮らしに寄り添う"美しいもの"を特別に紹介します。

ブロックプリンター・向井詩織さんにとって「美しいもの」とは。
〈CALICO〉のカディシャツ。インドの手仕事の布を使ったブランドによるシャツ。「クラシックな形で人前に出るときに着ることも。ワークショップでは水を運ぶなど力仕事が多いのですが、しっかりしてるので安心して身に着けられます」
ブロックプリンター・向井詩織さんにとって「美しいもの」とは。
アジュラックの版木。アジュラックは、世界で3 つの地域でしか作れないブロックプリント技法の一つ。版木を使い、草木染めで独特の模様を布に写し出す。向井さんの仕事もアジュラックを用いたもの。「約60年前の版木になります」
ブロックプリンター・向井詩織さんにとって「美しいもの」とは。
〈Textile COCOON〉の名刺入れ。染織家の西川はるえが一人で営む染織工房。「手の痕跡も感じられ、ビジュアルが本当に格好いい。名刺交換のときにしか人の目に触れないという、ミニマルな使用用途なのもすごくいいな、と思います」

向井詩織さんにとって「美しいもの」とは。

ブロックプリンター・向井詩織さんにとって「美しいもの」とは。

 美大中退後にインドを旅行して、テキスタイル美術館を訪れました。そこで、一級品の布に出合い、そのすごさにびっくりしてしまいました。刺繍でも一つのピースを作るのに一生涯かけているのでは、と思うようなものがずらりと並んでいる。とにかく衝撃的で、その体験が、今の仕事にもつながっています。そういった純粋に美しいと感じるものも多くありますが、今回は、身の回りにあるものということで、数年単位で一緒にいる、安心できるものを選びました。アジュラックというブロックプリントのための版木は、インドのカッチで見つけたもの。私はイスラム文様がすごく好きで、これにもその様式の柄が彫られています。〈キャリコ〉のカディのシャツは頑丈で、手摘み手紡ぎの糸を使っているので着るたびに風合いが増してきます。〈Textile COCOON〉の名刺入れは一本一本糸の太さが違っていて、力強くて格好いい。相棒という感じで使わせてもらっています。

向井詩織ブロックプリンター

武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科を中退後に旅したインドでテキスタイルと出合う。インドと日本を拠点に、天然染料のブロックプリントを制作。

photo : Satoshi Yamaguchi edit & text : Wakako Miyake

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