盛岡、鎌倉、松本。旅をしたくなる、カルチャーの息づく町へ。September 26, 2025

川の向こうに、雲をたなびかせながらどっしりとそびえる岩手山。盛岡出身の詩人・石川啄木はこんな短歌を残している。「ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山は ありがたきかな」。帰郷することを想像して詠んだ歌は、ここで暮らす人の気持ちをあますところなく伝えている。今回の案内人、松川さんも岩手山には何度も元気づけられてきたという。「冬は雪で真っ白になり、四季折々で美しい姿を見せてくれます。日常にあるのが当たり前になっていますが、この山は町の人々のよりどころ。北上川に架かる開運橋からは、晴天ならば山容全体を見ることができます。ほかにも中津川に架かる車が通れない富士見橋や、開運橋から1本北側にある旭橋からの眺めも気に入っています」
吉浜食堂 松川麻由 岩手 盛岡 | 自然農園・ウレシパモシリの南部小麦玄麦麺と生ウニ。麺も寛幸さんの手作り。
インクギャラリー 鎌倉 オイチイチ 瀬木いくよ 旅 | 「オープニングからケータリングに伺っている、とても素敵なギャラリーです」と瀬木さん。ファッションブランド〈ヤエカ〉が運営する『インクギャラリー』(鎌倉市鎌倉山1−19−12)は、建築家・吉村順三が住宅として設計し、1977年に完成。かつて吉村の事務所に勤め、この物件の施工にも携わった中村好文の監修の下、復元された。卵を模した花器と流木のようなキャンドルスタンドは、2023年に展示を開催したニューヨークの作家、テッド・ミューリングによるもの。どちらも手触りを感じる白い陶器で、借景の雨に濡れた庭との対比が眩しい。テッドは展示のステートメントで、こう記している。「貝殻の優雅な螺旋や葉の複雑な曲線は、別の素材で解釈すると、小さな啓示がある」
松本 guild Bekkan 旅 中島孝介 | 有名無名にかかわらず、ヨーロッパ、中東、日本など世界各地から心に留まるものだけを集めている。根室に縁ある作家の現行品も。

THINGS FOR BETTER LIFE #110盛岡、鎌倉、松本。旅をしたくなる、カルチャーの息づく町へ。

盛岡、鎌倉、松本。旅をしたくなる、カルチャーの息づく町へ。September 26, 2025

その土地でしか味わえない食や、ものづくりに出合うことは、旅における大きな楽しみのひとつ。さらに、その町に暮らす人たちが織り成すカルチャーに触れられれば、より一層、旅の思い出が心に刻まれるもの。古き良き伝統と新しい風が融合する、岩手・盛岡、神奈川・鎌倉、長野・松本の3つの町を、地元の人にガイドしてもらいました。

「THINGS FOR BETTER LIFE」、今回のテーマは「旅をしたくなる、カルチャーの息づく町へ」