Music

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/野宮 真貴 vol.2April 09, 2021

April.09 – April.15, 2021

Saturday Morning

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Title.

Living By Numbers
Artist.
New Musik
“渋谷系”以前にニュー・ウェーブ、テクノポップの洗礼をどっぷり受けている私にとって、爽やかな土曜の朝は時にこんな曲で始まる。
80年代の幕開けと共に登場したNew Musik。アコースティック・ギターとシンセサイザーの音色が織りなすポップなメロディーは、私にとって最も新しくてロマンティックな音楽だった。今あらためてこの曲を聴くと、「新しい何か」を探していた当時のスピリットを感じられて、胸がキュンとする。
そう言えば、ここ数年ファッションの世界も80sを思わせるオーバーサイズが主流になっているけれど、80sテイストを取り入れるならいつものワードローブに蛍光色を差し色で取り入れるくらいが今の私にはちょうどいい。 
よく晴れた春の土曜の朝に、ちょっと奇抜なおしゃれをして颯爽と街を歩いてみたい。
アルバム『From A To B』収録。

Sunday Night

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Title.
Femme Fatale
Artist.
Tracey Thorn
定番の白x黒ボーダーTを着るなら、フレンチカジュアル派?それともパンク派?元祖渋谷系とも称される私としてはフレンチカジュアル派と言いたいところだが、実はパンク派。ヘアはベリーショートで、ホワイトデニムよりブラックデニムをあわせたい。お手本はトレーシー・ソーン。
この曲は、エヴリシング・バット・ザ・ガール以前に残した彼女のソロアルバムから、ベルベット・アンダーグラウンドのカヴァー。トレーシーのぶっきらぼうなのに優しく味わいのあるヴォーカルとチューニングも微妙なギターになぜか心が落ち着く。原曲を超えるカヴァーの名曲の一つ。
ボーダーの着こなしもそうだけど、トレーシーのヴォーカルが持つニュアンスや抜け感は唯一無二のものだと思っている。日曜の夜の眠りに誘う心地よい一曲。
アルバム『A Distant Shore』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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ミュージシャン/エッセイスト 野宮 真貴

ピチカート・ファイヴ3代目ヴォーカリストとして、90年代に一世を風靡した「渋谷系」ムーブメントを国内外で巻き起こし、音楽・ファッションアイコンとなる。現在は“渋谷系とそのルーツの名曲を歌い継ぐ”音楽プロジェクト「野宮真貴、渋谷系を歌う。」を行うなど、ソロアーティストとして活動。2020年は還暦イヤーを迎え、音楽、ファッションやヘルス&ビューティーのプロデュース、エッセイストなど多方面で活躍している。 ベストセラー・エッセイ『赤い口紅があればいい』『おしゃれはほどほどでいい』(幻冬舎) ソロベストアルバム『野宮真貴 渋谷系ソングブック』、ピチカート・ファイヴベストアルバム『The Band Of 20th Century: Nippon Columbia Years 1991-2001』が好評発売中。2020年秋に還暦にして初となるモバイルファンクラブ「おしゃれ御殿」をオープンした。 「おしゃれ御殿」 オフィシャルサイトインスタグラム 野宮真貴アルバム PIZZICATO FIVEアルバム 野宮真貴エッセイ

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