花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」

緑を添えた「うつわの愛で方」。花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」 Vol.50August 04, 2022

花屋<みたて>に習う植物と歳時記 折々に見立てる 京の暮らし

四季折々に迎える歳時記を、京都の花屋『みたて』が植物を通して表現。一つの作品を通して、京都ならではの生活が見えてきます。

緑を添えた「うつわの愛で方」。 みたて

緑を添えた「うつわの愛で方」。

 清水焼発祥の地、五条坂で開かれる陶器まつりは夏の風物詩のひとつ。大正9(1920)年、六道珍皇寺での六道まいりに合わせ開かれたのが始まりだけに、暑い盛りの夏の陶器市となっている。例年8月7日から 日にかけての4日間。川端通から東大路通までの五条坂に、窯元から陶芸家、小売店、卸店と400軒もの店がずらりと並ぶ様子は圧巻だ。夜10時と遅い時間まで開かれているから、暑い日中を避けて夕涼みがてらに出かけるのもいい。掘り出し物や思わぬ出合いに、京都でのうつわ探しを堪能するに違いない。
 好みのうつわに出合ったら、使う前にまず様々に愛でるというのが『みたて』の提案。杉田明彦の漆器の菓子鉢に水を張り、あえて無造作に皿を入れ、そこに山葡萄の葉をあしらった。夏に青々と茂る山葡萄は生命力を感じさせ、一枚一枚異なる葉の形も可愛らしい。ただ置くのではなく植物とともに。深い漆の色と葉の緑が、料理を盛り付けるのとはまた異なる風情でうつわを引き立てている。盛り付けた様を想像するのもまた楽しい。
 もうひとつ暑い盛りの京都の風物詩といえば、 8月の11日から16日にかけ下鴨神社で開かれる下鴨納涼古本まつり。暑さをいとわず足を運びたくなる2つの市が待つ8月の京都だ。

photo : Kunihiro Fukumori edit & text : Mako Yamato
*『アンドプレミアム』2019年9月号より。


花屋 みたて

和花と花器を扱い、四季の切り取り方を提案する京都・紫竹の花屋。西山隼人・美華夫妻がすべてを分担し営む。

hanaya-mitate.com

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