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Book

This Month Theme尊敬できる道具を知るための本。

選・文/カモシカ書店 / December 06, 2018 本屋が届けるベターライフブックス。『魯山人味道』北大路魯山人 著 平野雅章 編(中公文庫)

魯山人

 正直に言って、北大路魯山人はとっつきにくい。論理や言葉は平易だが、つまるところ「君は天才か、そうじゃないか」を問われ続け、僕は天才ではないな、と当たり前のことを自覚した瞬間突き放されるからだ。
 本書ではサンショウウオやナマコ、カエルといった珍味の味わい方を綴り、下関のフグを比肩すべきなにものもないと絶賛するが、最終的には個人の好みではないだろうか。
 だが魯山人の極めて野生的な論説には常に美しい裏地がある。器や鍋、包丁といった道具に対して繊細さを要求する強い美意識である。それは人に対しても向けられ、美味いものを出したければその人のことを知るしかないということになる。道具にこだわることと、自分を信じ、人を大切にするのは実は全く同じ苦しみがあるのかもしれない。


KAMOSHIKASYOTEN カモシカ書店

文学、音楽、映画、アートなどを中心に選書。自家製のスイーツやドリンクを楽しみながら、本を選ぶ豊かな時間を過ごせる。
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