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世界中に広がった、花を贈る日と愛する人に気持ちを伝える花言葉。「花を贈る」ということ。Send FlowersMay 06, 2022

2022年4月20日発売の『&Premium』の特集は「花を飾る、緑と暮らす」。「花を贈る」ことは、自分の気持ちをスムーズに相手に伝えやすくなり、ともすれば言葉以上に雄弁に、その場の雰囲気を一変するような演出をしてくれます。そこで、花の文化に詳しい松山誠さんに、世界中の花を贈るカルチャーについて教えていただきました。

世界中に広がった花を贈る日と 愛する人に気持ちを伝える花言葉。 松山 誠 「花を贈る」ということ。

 母の日をはじめ、感謝や愛情を表現するために世界で花を贈る日はさまざまにある。
「花で思いを伝えようと“Say It With Flowers”というスローガンがアメリカで作られたのは1917年のこと。母の日のキャンペーンでした。以来、花を贈る日は徐々に増えていき、例えば3月8日の国際女性デーには、女性にミモザを贈り、フランス発祥の5月1日のスズランの日には、大切な人に幸福が訪れるといわれるスズランを贈る。他にもイースターは白いユリ、父の日は黄色い花、敬老の日はリンドウを贈ろうという記念日があります。ミモザもスズランももともとはその季節によく咲く花、いわばその土地の風景をつくってきたもの。贈る日を設けることで、贈る習慣が定着していった側面もあります。一方で、花贈りの際に添えられる花言葉の意味は諸説あり、はっきりしたことがわかっていません。花言葉自体はイスラム文化圏で生まれ、17世紀にフランスで本が作られてから花言葉に合わせて花を贈るようになったようです。恋人同士で同じ花言葉に関する本を所有して花を贈り合うスタイルは、明治時代、日本でもそのまま普及しました」(松山さん)

 

松山 誠 Makoto Matsuyama

国立科学博物館後援会に勤務後、花の世界へ。生産者、仲卸、花店などで勤務。現在はフリーランスのフローリストで花と園芸の歴史研究、編集、執筆に携わる。花業界の生きた歴史を調査する「花のクロノジスト」として活動中。

 

illustration : Yoshifumi Takeda text : Chizuru Atsuta


「花のクロノジスト」 松山 誠

国立科学博物館後援会に勤務後、花の世界へ。生産者、仲卸、花店などで勤務。現在はフリーランスのフローリストで花と園芸の歴史研究、編集、執筆に携わる。花業界の生きた歴史を調査する「花のクロノジスト」として活動中。

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