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写真家・三部正博さんと『パピエラボ』による展示「PRINT MATTERS」が開催。May 18, 2022

MASAHIRO SAMBE 江藤公昭 PAPIER LABO. パピエラボ 三部正博
photo : Masahiro Sambe

写真と印刷物の往来から生まれた、新たな試み。

2022年5月17日~31日、写真家の三部正博さんと「紙と紙にまつわること」をテーマにショップ運営、デザイン、印刷ディレクションなどを行う『パピエラボ』が展示「PRINT MATTERS」を開催する。

広告や雑誌などの分野でポートレート、ファッションなどの撮影を手がけながら、近年はライフワークとしてランドスケープを撮り続けている三部さん。その連作にかねてより魅力を感じていた『パピエラボ』のディレクター・江藤公昭さんが、ランドスケープの写真を素材に、自らデザイン、ディレクションした印刷物を製作。

本展では、毎年ニューイヤーカードとして継続しているこの共作を発展させ、活版印刷、リソグラフ印刷、シルクスクリーン印刷による印刷物10点と、印刷物の素材となった写真を含むクロモジェニックプリント10点を展示販売する。

photo:Misa Sakuma
photo:Misa Sakuma
photo:Misa Sakuma
photo:Misa Sakuma
photo:Misa Sakuma
photo:Misa Sakuma
photo:Misa Sakuma
photo:Misa Sakuma

自然の中に垣間見る、人為の痕跡や去った人間たちの残像。ランドスケープの撮影を通して三部さんが捉えようとするのは、ありきたりな風景に潜む、人間と自然の曖昧な境界とその生々しさだという。

三部さんと江藤さんはすべての連作を見通し、像として写っているものと写っていないものの均衡を見極めながら、各印刷技術に適した写真を厳選し、今回の展示作品を製作した。

二人がこのプロジェクトで目的とするのは、印刷の課程を経ることによって写真の見え方や在り様が変容する可能性と、印刷技術の潜在力を引き出す可能性について、お互いの立場から考察すること。写真の諸要素を削ぎ落とし、被写体の輪郭や色彩、質感、陰影のみを残し、なお見える像を浮かび上がらせる印刷物の面白みを追求している。また、そうしたアプローチにより、写真のなかに漂う「気配」を示す可能性についても考察。きわめて個人的な欲求から撮影された写真が、「印刷」という手段によって解放され、さらなる展開を見せることも、写真と印刷物の往来がもたらす産物といえるのではないだろうか。

展示会場は東京・高田馬場にあるケーススタディスタジオ『BaBaBa』。印刷工場をリノベーションした解放感溢れるスペースに作品が並ぶ。二人が手間暇かけることを惜しまずに作り上げた作品群を、ぜひこの機会に。

INFORMATION

PRINT MATTERS
MASAHIRO SAMBE & PAPIER LABO.
写真:三部正博 デザイン・印刷ディレクション:江藤公昭(PAPIER LABO.)
会場:BaBaBa
住所:東京都新宿区下落合2-5-15-1F
電話:03-6363-6803
会期:2022年5月17日(火)〜5月31日(火)※5月23日(月)休み
時間:12:00~19:00

text : Yu Miyakoshi

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