Water南アルプス「水の山」通信

vol.1 / November 21, 2016 山梨・北杜より南アルプス山麓で幻の米「農林48号」に出合う。

寒暖差の大きい気候では、おいしい米が生まれる。豊かな大自然の恩恵を受けた北杜市の米は今季も豊作です。
寒暖差の大きい気候では、おいしい米が生まれる。豊かな大自然の恩恵を受けた北杜市の米は今季も豊作です。

国内有数の天然水を生み出す土地として、全国に知られている山梨県北杜市。市内にある武川(むかわ)町では「農林48号」という米を作っている。市場を席巻しているコシヒカリより育てるのが難しく、多くの農家が作るのをやめてしまい、幻の米と呼ばれている。かつては作り手の家族や親戚だけが口にする「縁故米」として流通した。その「農林48号」を作り続けている亀井重治さんを武川町に訪ねた。
「まあ、水が良いからね。農業用水は南アルプスからの水だもんな」と、亀井さんは言う。現在、85‌haの田を4人の組合員と共に生産管理をしている。「4‌8(ヨンパチ)は病気に弱い、背が高いために倒れやすいし、収穫時期も遅い。だけど、旨いから作り続けているんですよね」

おいしい米が穫れる要素に「水、気候、土壌」があると亀井さんは言う。周囲には南アルプスを源流とする釜無川や大武川が流れ水は豊か。武川の標高は約600mで寒暖の差が大きく、甘味のある米や果実が穫れる。そして、米作りに向いている花崗岩質の砂質土壌。「難しい米だけど、旨いって言われたら作るしかないんだよなあ」と亀井さんが苦笑いする。

家で「農林48号」を炊いた。「新米の水は少なめだけど、48はさらに少なく」というアドバイス通り、水を少なめにして炊く。炊き上がったご飯は、ほのかに甘く、米の旨味が口に広がる。自然と南アルプスの光景が脳裏に浮かぶ。これぞテロワール。大切に米をかみしめ、南アルプス山麓の自然を思った。


今月の人/米農家

亀井重治

Shigeharu Kamei 亀井重治

農事組合法人 武川ファーム組合代表理事。父親の代から農林48号作りに携わる。「他所の人は、武川の米はおいしいと言ってくれる。でも毎日食べていると、当たり前に思っちゃうんだなあ」。地元の日本酒が大好き。
武川ファーム組合 ☎0551−2‌6−2211
 
photo : Koh Akazawa text : Hideki Inoue edit : Akio Mitomi