Music

今月の選曲家 仲真史March 17, 2017

March.17 – March.23, 2017

Saturday Morning

Hater
Title.
Carpet
Artist.
Hater
スウェーデンから久々にインディ頼りじゃないインディ・バンドHaterのデビュー・アルバムから。北欧のポップは雰囲気に甘えたものが多くそれはそれで楽しめるのですが、彼らは久々に単純に良いメロディメイカーというだけではなく、同じ北欧であればThe RADIO DEPT.同様の“センス”という言葉だけでは片付けられない魅力を醸す、つまりそれはそのあの……“胸キュン”なのかもしれません。いまどき胸キュンなんて言葉は死語なのでしょうが、青春は恋人がいなくてもいつでもどこでもいつになってもあるものなのだ、と気付かせてくれ、そしてひとりでもふたりでも、結局ひとりでも前を向いていける気になるレコードです。
アルバム『You Tried』収録。

Sunday Night

Peaking Lights
Title.
Little Flower featuring Chloë Sevigny
Artist.
Peaking Lights
ついに出た。去年の年末くらいから音源はアップされていたのですがコレは久々にブツとして欲しいと思わせる、アメリカのアンダーグラウンド・エクスペリメンタル・シーンからフロアへ向かった男女2人組 Peaking Lightsの楽曲になんとクロエ・セヴィニーが参加した曲がついに12インチ・レコード化です。恋人だったハーモニー・コリン脚本、ラリー・クラーク監督の90年代の金字塔映画『キッズ』でデビューしてから、パルプのジャーヴィス・コッカーや2000年代初頭のエレクトロ・クラッシュ・シーンに体当たりして散ったロンドンのA.R.E.ウェポンズのマット・マコーレーなど、男選びが完璧な彼女はいつまで経ってもカルチャーに対しての姿勢はブレないのだ、と証明した永遠のアイコン盤です。
アルバム『Little Flower』収録。
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

もっと読む


〈BIG LOVE〉主宰 仲 真史

原宿のレコード・ショップ兼レーベル、BIG LOVEの代表。1990年代初頭から常に欧米のインディペンデント&アンダーグラウンドのロックやエレクトロニックを中心とした新しい音楽を紹介し続けている。レーベルではブレイク前のThe xx、アリエル・ピンクやアイスエイジをリリースし、またショップ・ロゴを手掛けるのはカニエ・ウェストの例のマーチャンダイズを手掛けたL.A.のカリ・ソーンヒル・デウィットであり、彼の日本の初個展を行なったのもBIG LOVEである。

Pick Up おすすめの記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 125スタンダードと、センス。2024.03.19 — 930円